詩歌の森日記
2024年7月20日 11時00分
ラベル : 講座
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5/8(水)に始まった古典文学講座万葉集
岩手県立大学名誉教授の佐々木民夫先生が講師を
務める、毎年恒例の人気講座です。
6月に入り、後半3回の講座が開かれました。
第4回(6/5)では都と「東」・東国、
「葛飾の真間の手児名」が取り上げ
られました。
都人が富士山の雪景色、噴煙の描写を
して賛美しているのに対し、
東人は日常生活の場、
環境として捉え、相聞の歌に取り入れて
います。
伝説の美女として万葉集に登場する「葛飾の真間の手児名」に興味がわきます。
第5回(6/12)では「東歌」の「相聞」が
取り上げられました。
相聞とは恋の歌のこと。都の歌に比べて、東歌は大胆で実直なものが多いそう。
多摩川に 晒す手作り さらさらに
なにそこの児の ここだかなしき
(武蔵国歌十四・三三七三)
「東歌」に出てくる「かなし」は、
悲哀の意味で使われているもの
は少なく、そのほとんどは、いとしい、
かわいいの意味で使われて
いるそうです。
東歌では多様な序詞が登場します。ある語句を導き出すための前置きとして使われます。
第6回(6/19)は巻十四「東歌」の世界。
東歌の多様性について、これまでの振り返りと
ともに、民謡などの側面がうかがえる歌が
いくつか紹介されました。
稲搗けば 皹るあが手を 今夜もか
殿の若子が 取りて嘆かむ(十四・三四五九)
(稲をついて荒れたわたしの手を 今夜もまたお邸の若様が
手に取って嘆かれることだろうか)
稲つきをする女性たちが笑いながら
歌い合っていた作業歌のようなものだったの
ではないかという説もあるそうです。
知れば知るほど奥の深い「東歌」の世界。
来年もまたどんな万葉集のお話が
きけるのか楽しみです。
ゆ
2024年7月10日 15時30分
ラベル : 講座
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5/8(水)に始まった古典文学講座万葉集
岩手県立大学名誉教授の佐々木民夫先生が講師を務める
毎年恒例の人気講座です。
今年度のテーマは、
万葉集―巻十四「東歌」の世界
万葉集巻十四に収められた古代東国地方の歌を
学びます。
第1回(5/8)では古代の「東(あづま)」・東国とはどこを指すのか
古代の都の人々から見た東人(あづまひと)とは
どのような存在であったかを
お話くださいました。
珠洲の海に 朝開きして 漕ぎ来れば
長浜の浦に 月照りにけり(十七・四〇二九)
大伴家持が越中国守として能登半島の珠洲から
長浜の浦に着いたとき、
月の光を仰ぎ見て作った一首。
「東歌」ではありませんが、今年元旦に震災に
見舞われた能登の地に思いを馳せて、鑑賞しました。
リピーターの多い受講生の皆さん。熱心に先生のお話をメモされていました。
第2回(5/15)では、巻十四「東歌」、
そして「陸奥国(みちのくのくに)の歌」も
取り上げられました。
会津嶺の 国をさ遠み 逢はなはば
偲ひにせもと 紐結ばさね(十四・三四二六)
都人からすれば「みちのく」は未知の国であり、
夫婦は離れ離れになる際に
お互いの衣の紐を結び合うといった習わしが
あったそうです。
東国十二ヶ国とは長野から陸奥国まで。陸奥国は福島県から宮城県北部との説。
第3回(5/22)では「鶏が鳴く東」、「みちのく」について
取り上げられました。
息の緒に あが思う君は 鶏が鳴く
東の坂を 今日か越ゆらむ(非別歌十二・三一九四)
「鶏が鳴く」は「東」の枕詞で、万葉集の中では
九例も使われているとのことです。
都人からみた東の国は様々な言い回しで
とらえられていたのがわかりました。
「都」と対比される「鄙」(田舎)とも異なる「東」とは…
後半は第4回「葛飾の真間の手児名」
第5回「児ろ」、「かなし」、「寝」
第6回 巻十四「東歌」の世界となります。
東歌についてさらに深く知ることが
できそうです。
後半へと続きます。
ゆ
2024年3月19日 13時21分
ラベル : 講座
令和5年度俳句実作講座【句会篇】が開催されました。
講師は、高野ムツオ館長です。
◆第1回 10/19(木)、20(金)開催◆
初回の題は「木の実」で一句、
自由題で一句です。
今回は句会形式で講座が進むため、
あらかじめ提出いただいた句の一覧を配布し
指定された時間内に2句選び、
受講生の方々に順に発表していただきました。
その後、集計して最も票が入った句を選んだ方々から
「句を選んだ理由、感想」など
発表していただく流れです。
館長の選句や指導も入り、受講生の方々も丁寧にメモをとられたり
質問されたりと真剣な様子で受講されていました。
受講生の句で、今回最も票が入った句は
〈縄文の裔とし木の実拾ふかな〉
〈木の実ふる子等それぞれの道をゆき〉
〈公園の隅の除染土虫すだく〉
です。
講座の最後に、票が集まった句を作られた方々へ
ムツオ館長直筆の色紙がプレゼントされました。
◆第2回 11/16(木)、17(金)開催◆
詩歌の森も秋が深まる11月中旬。
第2回の題は「時雨」で一句、
自由題で一句です。
前回同様、句会形式で行われます。
今回は「選んだ理由」の他に「選ばなかった理由」
も発表し、句の理解を深めていきます。
共感が寄せられることもあれば、
思ってもいない視点からの意見に
魅力が増す句もありました。
受講生の句で、今回最も票が入った句は
〈友へかける言葉を探す息白し〉
〈小春日やざぶざぶ洗ふ樽三つ〉
です。
今回は耳に残るリズム感の良い句や、
学生の方の句に
票が多く入っている印象でした。
◆第3回 12/21(木)、22(金)開催◆
題は「年用意」で一句、
自由題で一句です。
年用意の句は、自然などを組み合わせるなど
あっさりと作った方が良いとのお話もありました。
受講生の句で、今回最も票が入った句は
〈ばあちゃんのレシピの誤字と年用意〉
〈年用意母の手擦れの備忘録〉
〈開戦日イマジンを弾くそば店主〉
〈犬の餌もメモに書きたす年用意〉
です。
俳句はおりてくるのをただ待つのではなく
『七転八倒していると、おりてくるもの』
と館長はおっしゃっていました。
『にぎわいと寂しい』『多いと少ない』など
強弱がある言葉をセットにすると俳句が生きる
自然と人間の世界を同時に表現するとよいなど
俳句作りのアドバイスもあり、
受講生の方々の俳句への制作意欲も
さらに高まっているように感じました。
最後に
高野館長、受講生の皆様、
ありがとうございました。
次回のご参加もお待ちしております!
OKP
2023年10月27日 17時09分
ラベル : 講座
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10月8日(日)と15日(日)の全2回で
こどもの俳句教室(秋の部)が開催されました。
夏の部に参加してくれたメンバーに新たなメンバーも加わり
みんなのやる気も上がります!
クイズや季語探しなどを行いながら
片方みち子さん、髙橋美恵さんと共に
俳句に慣れ親しんでいきます。
【第1回目(10月8日)の様子】
簡単な自己紹介の後
片方さんと美恵さんから
今日のスケジュールなどを聞きます。
みんなわくわくそわそわ♪
さっそく外へ季語を探しに出発!!
まずは俳句クイズにチャレンジです!
答え(季語)を見つけに雑草園に向かいましょう。
歩いていくと「がまずみの実」がなっていました!
秋の季語を発見です!
雑草園に到着したら、みんなで探索開始!
おや?どうやらお庭の奥で
青邨さんの句碑を見つけたようです。
俳句クイズの問題を解いていきましょう♪
山口青邨宅にもクイズの答えが!!
雑草園と山口青邨宅を探索した後は
詩歌の森の中にも季語を探しに行きましょう!
俳句を作るヒントになりそうです。
詩歌文学館に帰ってきたら
クイズの答え合わせをして
俳句作りに取りかかりましょう♪
「もっと俳句を作りたい!」とみんな笑顔。
最後にみんなが作った俳句の中から
お気に入りの句を発表し合いました!
【第2回目(10月15日)の様子】
第2回もご挨拶からスタート!
雑草園へ季語探しに出発です!
15日のお天気は雨☂
思い思いの傘をさして
季語を探しながら俳句を考えます(^^♪
山口青邨宅で片方さんが教えて下さった
青邨さんのお話に
みんな興味しんしん!
青邨さんが実際に使われていた机で
聞いたお話や俳句をメモメモ( ..)φ
どんどん素敵な俳句が生まれそうです!
戻った後は、俳句作りに再挑戦!!
俳句の基本的なルールは「五・七・五」の
17音(おん)で句をつくること!
指を使って確認する子も。
作った句を練習用短冊に書いて
投句箱へイン!
俳句が出そろったらスタッフが句会の準備へ!
待っている時間に俳句かるたをして盛り上がっていました♪
準備が整ったら
いよいよ句会が始まります!
お気に入りの句を選んで
どこが良かったかもみんなの前で発表しました(*'▽')
最後に自分で作った一番のお気に入りの句を
筆ペンで短冊に揮毫(きごう)します!!
今回も素晴らしい俳句作品がそろいましたね☆ミ
作品は後日
館内1階のサンチョクコーナーにて展示予定です!
どちらもエネルギッシュな会になりました!!
参加者の皆さん、
片方さん、美恵さん、
本当にありがとうございました!
OKP
2023年9月8日 10時18分
ラベル : 講座
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令和5年度俳句実作講座【添削篇】が開催されました。
講師は、高野ムツオ館長です。
◇第1回 5/18(木)、19(金)開催◇
題は「葉桜」または「薫風」で一句、
自由題で一句です。
始めは、「葉桜」「薫風」が取り入れられている俳句を鑑賞しました。
それぞれの季語だけでなく、
ほかの「植物」や「風」に関連する季語に話を広げて、
意味や使い方を詳しく教えてくださいました。
次に、受講生の皆さんへの添削指導です。
館長から丁寧な指導が入りました。
受講生の皆さんも、真剣に聞き入っていました。
◇第2回 6/15(木)、16(金)開催◇
題は「青田」または「夏燕」で一句、
自由題で一句です。
田に関連する季語として、「青田」のほかに、
「植田」「春田」「稲田」などが挙げられました。
そして、これらの季語を使い分けるためには、
「いつから」といった科学的日数で考えるのではなく、
目で見た時の印象が大切であると、解説がありました。
添削指導では受講生の、
〈待ち人の来るや駅舎に夏燕〉
という一句について、
・「待ち人/燕が駅舎に来た」という、情景の取り合わせが上手い
・切れ字の「や」で、待っていた相手が来たことへの感動が表現できている
などの解説がありました。
そして「駅に着いた」ことが分かりやすくなるよう、
例句として、
〈待ち人の駅に着きたり夏燕〉を挙げてくださいました。
◇第3回 7/20(木)、21(金)開催◇
題は「噴水」または「胡瓜」で一句、
自由題で一句です。
「噴水」「胡瓜」の俳句を鑑賞しながら、
季語の歴史や、俳句に込められた思いなども、
詳しく教えてくださいました。
最後に、受講生の方から、
「語彙力を増やすために、先生が心がけていることはどんなことでしょうか?」
と質問がありました。
館長は、
「できるだけ、詩・短歌・俳句を読む」
「分からない言葉があれば、必ず調べる」
といったことを挙げられました。
「その土地や身近の伝統的な言葉を吸収することで、日常の言葉の気付きに繋がる」
とのことです。
高野館長、受講生の皆様、
ありがとうございました。
次回もぜひご参加ください!
A