詩歌の森日記

こどもの俳句教室2024 夏の部

2024年7月24日 15時30分
ラベル : 講座

今年も6月2日(日)と9日(日)の2週にわたって

こどもの俳句教室が開催されました。

片方みち子さん、髙橋美恵さんと一緒に、

クイズや季語探しをとおして、

俳句を楽しみながら作ります。

今回は18名のこどもたちが参加してくれました。

 

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第1回目の6月2日は、まず俳句クイズにチャレンジ!

クイズの答え(季語)を見つけに、

雑草園と詩歌の森公園へ探検スタート!

 

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この植物はなんていうの?

夏の季語になるのかな?

質問がとびかいます。

 

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山口青邨さんのお宅と庭を探検!

 

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詩歌の森公園には季語がたくさん!

 

見つけた季語は「柘榴(ざくろ)の花」「青梅」「睡蓮」

「山法師(やまぼうし)」「籐椅子(とういす)」など…

 

クイズの答え合わせのあとは、見つけた季語で俳句を作りました。

作った俳句を短冊に書き、投句箱へ投句した後、

名前を伏せて清記した俳句の一覧が、こどもたちに配られました。

 

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一覧の中から、自分の好きな俳句を2句ずつ選びました。

 

次から次へと作品が投句箱の中へ・・

こどもたちの俳句をつくるスピードに

いつも驚かされます。

 

第2回目の6月9日は、前回の振り返りからスタート!

前回作った俳句に、片方さんと美恵さんが

コメントしてくださった後、

外へ季語探しに向かいました。

 

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同じ場所でも、2週間も経つと

植物の様子や見つけられる季語が変わってきます。

季語探しをとおして、少しずつ変わっていく季節を

こどもたちは感じとっていました。

 

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いま目の前にある植物も季語として俳句にできるよ!と先生。

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ハチの巣を発見!この辺を飛んでいるのはどんなハチかな?

 

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紫蘭(しらん)が咲いていました!この花は夏の季語です。

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和室に戻った後は、俳句作りに再挑戦!

今回は作った俳句を、筆ペンで短冊に揮毫(きごう)しました。

 

 

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筆ペンで短冊に丁寧に書いていきます。

 

今年もコロナ感染対策を行いながらの

開催となりましたが、

クイズから始まり、公園での季語探し、俳句作りと揮毫も、

子どもたちは楽しみながら取り組んでいました。

より俳句を身近に感じることができたのでは

ないでしょうか。

 

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作品は、館内に展示中です。

是非、ご覧ください。

 

古典文学講座 万葉集―巻十四「東歌」の世界②

2024年7月20日 11時00分
ラベル : 講座

令和6年度古典文学講座万葉集

5/8(水)に始まった古典文学講座

岩手県立大学名誉教授の佐々木民夫先生が講師を

務める、毎年恒例の人気講座です。

 

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6月に入り、後半3回の講座が開かれました。

 

第4回(6/5)では都と「東」・東国、

「葛飾の真間の手児名」が取り上げ

られました。

 

都人が富士山の雪景色、噴煙の描写を

して賛美しているのに対し、

東人は日常生活の場、

環境として捉え、相聞の歌に取り入れて

います。

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伝説の美女として万葉集に登場する「葛飾の真間の手児名」に興味がわきます。

 

第5回(6/12)では「東歌」の「相聞」が

取り上げられました。

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相聞とは恋の歌のこと。都の歌に比べて、東歌は大胆で実直なものが多いそう。

 

多摩川に 晒す手作り さらさらに 

なにそこの児の ここだかなしき

(武蔵国歌十四・三三七三)

「東歌」に出てくる「かなし」は、

悲哀の意味で使われているもの

は少なく、そのほとんどは、いとしい、

かわいいの意味で使われて

いるそうです。

 

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東歌では多様な序詞が登場します。ある語句を導き出すための前置きとして使われます。

第6回(6/19)は巻十四「東歌」の世界。

東歌の多様性について、これまでの振り返りと

ともに、民謡などの側面がうかがえる歌が

いくつか紹介されました。

 

稲搗けば 皹るあが手を 今夜もか

殿の若子が 取りて嘆かむ(十四・三四五九)

(稲をついて荒れたわたしの手を 今夜もまたお邸の若様が

手に取って嘆かれることだろうか)

稲つきをする女性たちが笑いながら

歌い合っていた作業歌のようなものだったの

ではないかという説もあるそうです。

 

知れば知るほど奥の深い「東歌」の世界。

来年もまたどんな万葉集のお話が

きけるのか楽しみです。

 

 

古典文学講座 万葉集ー巻十四「東歌」の世界➀

2024年7月10日 15時30分
ラベル : 講座

令和6年度古典文学講座万葉集

5/8(水)に始まった古典文学講座

岩手県立大学名誉教授の佐々木民夫先生が講師を務める

毎年恒例の人気講座です。

 

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今年度のテーマは、

万葉集―巻十四「東歌」の世界

万葉集巻十四に収められた古代東国地方の歌を

学びます。

 

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第1回(5/8)では古代の「東(あづま)」・東国とはどこを指すのか

古代の都の人々から見た東人(あづまひと)とは

どのような存在であったかを

お話くださいました。

 珠洲の海に 朝開きして 漕ぎ来れば 

 長浜の浦に 月照りにけり(十七・四〇二九)

大伴家持が越中国守として能登半島の珠洲から

長浜の浦に着いたとき、

月の光を仰ぎ見て作った一首。

「東歌」ではありませんが、今年元旦に震災に

見舞われた能登の地に思いを馳せて、鑑賞しました。

 

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リピーターの多い受講生の皆さん。熱心に先生のお話をメモされていました。


第2回(5/15)では、巻十四「東歌」、

そして「陸奥国(みちのくのくに)の歌」も

取り上げられました。

 会津嶺の 国をさ遠み 逢はなはば 

 偲ひにせもと 紐結ばさね(十四・三四二六)

都人からすれば「みちのく」は未知の国であり、

夫婦は離れ離れになる際に

お互いの衣の紐を結び合うといった習わしが

あったそうです。

 

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東国十二ヶ国とは長野から陸奥国まで。陸奥国は福島県から宮城県北部との説。

 

第3回(5/22)では「鶏が鳴く東」、「みちのく」について

取り上げられました。

 息の緒に あが思う君は 鶏が鳴く 

 東の坂を 今日か越ゆらむ(非別歌十二・三一九四)

「鶏が鳴く」は「東」の枕詞で、万葉集の中では

九例も使われているとのことです。

都人からみた東の国は様々な言い回しで

とらえられていたのがわかりました。

 

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「都」と対比される「鄙」(田舎)とも異なる「東」とは…

 

後半は第4回「葛飾の真間の手児名」

第5回「児ろ」、「かなし」、「寝」

第6回 巻十四「東歌」の世界となります。

東歌についてさらに深く知ることが

できそうです。

後半へと続きます。

                   ゆ

俳句実作講座【句会篇】 2023

2024年3月19日 13時21分
ラベル : 講座

 

令和5年度俳句実作講座【句会篇】が開催されました。

講師は、高野ムツオ館長です。

 

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◆第1回 10/19(木)、20(金)開催◆

初回の題は「木の実」で一句、

自由題で一句です。

今回は句会形式で講座が進むため、

あらかじめ提出いただいた句の一覧を配布し

指定された時間内に2句選び、

受講生の方々に順に発表していただきました。

 

その後、集計して最も票が入った句を選んだ方々から

「句を選んだ理由、感想」など

発表していただく流れです。

 

館長の選句や指導も入り、受講生の方々も丁寧にメモをとられたり

質問されたりと真剣な様子で受講されていました。

 

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受講生の句で、今回最も票が入った句は

〈縄文の裔とし木の実拾ふかな〉

〈木の実ふる子等それぞれの道をゆき〉

〈公園の隅の除染土虫すだく〉

です。

 

講座の最後に、票が集まった句を作られた方々へ

ムツオ館長直筆の色紙がプレゼントされました。

 

◆第2回 11/16(木)、17(金)開催◆

 

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詩歌の森も秋が深まる11月中旬。

第2回の題は「時雨」で一句、

自由題で一句です。

 

前回同様、句会形式で行われます。

今回は「選んだ理由」の他に「選ばなかった理由」

も発表し、句の理解を深めていきます。

共感が寄せられることもあれば、

思ってもいない視点からの意見に

魅力が増す句もありました。

 

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受講生の句で、今回最も票が入った句は

〈友へかける言葉を探す息白し〉

〈小春日やざぶざぶ洗ふ樽三つ〉

です。

 

今回は耳に残るリズム感の良い句や、

学生の方の句に

票が多く入っている印象でした。

 

◆第3回 12/21(木)、22(金)開催◆

題は「年用意」で一句、

自由題で一句です。

年用意の句は、自然などを組み合わせるなど

あっさりと作った方が良いとのお話もありました。

 

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受講生の句で、今回最も票が入った句は

〈ばあちゃんのレシピの誤字と年用意〉

〈年用意母の手擦れの備忘録〉

〈開戦日イマジンを弾くそば店主〉

〈犬の餌もメモに書きたす年用意〉

です。

 

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俳句はおりてくるのをただ待つのではなく

『七転八倒していると、おりてくるもの』

と館長はおっしゃっていました。


『にぎわいと寂しい』『多いと少ない』など
強弱がある言葉をセットにすると俳句が生きる


自然と人間の世界を同時に表現するとよいなど

俳句作りのアドバイスもあり、

受講生の方々の俳句への制作意欲も

さらに高まっているように感じました。

 

最後に

高野館長、受講生の皆様、

ありがとうございました。

 

次回のご参加もお待ちしております!

 

OKP

こどもの俳句教室2023 秋の部

2023年10月27日 17時09分
ラベル : 講座

10月8日(日)と15日(日)の全2回で 

こどもの俳句教室(秋の部)が開催されました。

夏の部に参加してくれたメンバーに新たなメンバーも加わり

みんなのやる気も上がります!

クイズや季語探しなどを行いながら

片方みち子さん髙橋美恵さんと共に

俳句に慣れ親しんでいきます。

 

【第1回目(10月8日)の様子】

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簡単な自己紹介の後

片方さんと美恵さんから

今日のスケジュールなどを聞きます。

みんなわくわくそわそわ♪

 

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さっそく外へ季語を探しに出発!!

まずは俳句クイズにチャレンジです!

答え(季語)を見つけに雑草園に向かいましょう。

 

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歩いていくと「がまずみの実」がなっていました!

秋の季語を発見です!

 

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雑草園に到着したら、みんなで探索開始!

おや?どうやらお庭の奥で

青邨さんの句碑を見つけたようです。

俳句クイズの問題を解いていきましょう♪
​​​​

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山口青邨宅にもクイズの答えが!!

 

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雑草園と山口青邨宅を探索した後は

詩歌の森の中にも季語を探しに行きましょう!

俳句を作るヒントになりそうです。

 

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詩歌文学館に帰ってきたら

クイズの答え合わせをして

俳句作りに取りかかりましょう♪

「もっと俳句を作りたい!」とみんな笑顔。

 

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最後にみんなが作った俳句の中から

お気に入りの句を発表し合いました!

 

 

【第2回目(10月15日)の様子】

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第2回もご挨拶からスタート!

雑草園へ季語探しに出発です!

15日のお天気は雨☂

思い思いの傘をさして

季語を探しながら俳句を考えます(^^♪

 

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山口青邨宅で片方さんが教えて下さった

青邨さんのお話に

みんな興味しんしん!

 

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青邨さんが実際に使われていた机で

聞いたお話や俳句をメモメモ( ..)φ

どんどん素敵な俳句が生まれそうです!

 

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戻った後は、俳句作りに再挑戦!!

 

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俳句の基本的なルールは「五・七・五」の

17音(おん)で句をつくること!

指を使って確認する子も。

 

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作った句を練習用短冊に書いて

投句箱へイン!

 

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俳句が出そろったらスタッフが句会の準備へ!

待っている時間に俳句かるたをして盛り上がっていました♪

 

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準備が整ったら

いよいよ句会が始まります!

お気に入りの句を選んで

どこが良かったかもみんなの前で発表しました(*'▽')

 

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最後に自分で作った一番のお気に入りの句を

筆ペンで短冊に揮毫(きごう)します!!

 

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今回も素晴らしい俳句作品がそろいましたね☆ミ

作品は後日

館内1階のサンチョクコーナーにて展示予定です!

 

どちらもエネルギッシュな会になりました!!

参加者の皆さん

片方さん美恵さん

本当にありがとうございました!

 

OKP

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日本現代詩歌文学館

日本現代詩歌文学館の公式ブログです。学芸係が、当館の日常や詩歌の森公園の四季を紹介します。

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