令和6年度古典文学講座万葉集
5/8(水)に始まった古典文学講座万葉集
岩手県立大学名誉教授の佐々木民夫先生が講師を務める
毎年恒例の人気講座です。
今年度のテーマは、
万葉集―巻十四「東歌」の世界
万葉集巻十四に収められた古代東国地方の歌を
学びます。
第1回(5/8)では古代の「東(あづま)」・東国とはどこを指すのか
古代の都の人々から見た東人(あづまひと)とは
どのような存在であったかを
お話くださいました。
珠洲の海に 朝開きして 漕ぎ来れば
長浜の浦に 月照りにけり(十七・四〇二九)
大伴家持が越中国守として能登半島の珠洲から
長浜の浦に着いたとき、
月の光を仰ぎ見て作った一首。
「東歌」ではありませんが、今年元旦に震災に
見舞われた能登の地に思いを馳せて、鑑賞しました。
リピーターの多い受講生の皆さん。熱心に先生のお話をメモされていました。
第2回(5/15)では、巻十四「東歌」、
そして「陸奥国(みちのくのくに)の歌」も
取り上げられました。
会津嶺の 国をさ遠み 逢はなはば
偲ひにせもと 紐結ばさね(十四・三四二六)
都人からすれば「みちのく」は未知の国であり、
夫婦は離れ離れになる際に
お互いの衣の紐を結び合うといった習わしが
あったそうです。
東国十二ヶ国とは長野から陸奥国まで。陸奥国は福島県から宮城県北部との説。
第3回(5/22)では「鶏が鳴く東」、「みちのく」について
取り上げられました。
息の緒に あが思う君は 鶏が鳴く
東の坂を 今日か越ゆらむ(非別歌十二・三一九四)
「鶏が鳴く」は「東」の枕詞で、万葉集の中では
九例も使われているとのことです。
都人からみた東の国は様々な言い回しで
とらえられていたのがわかりました。
「都」と対比される「鄙」(田舎)とも異なる「東」とは…
後半は第4回「葛飾の真間の手児名」
第5回「児ろ」、「かなし」、「寝」
第6回 巻十四「東歌」の世界となります。
東歌についてさらに深く知ることが
できそうです。
後半へと続きます。
ゆ