令和6年度古典文学講座万葉集
5/8(水)に始まった古典文学講座万葉集
岩手県立大学名誉教授の佐々木民夫先生が講師を
務める、毎年恒例の人気講座です。
6月に入り、後半3回の講座が開かれました。
第4回(6/5)では都と「東」・東国、
「葛飾の真間の手児名」が取り上げ
られました。
都人が富士山の雪景色、噴煙の描写を
して賛美しているのに対し、
東人は日常生活の場、
環境として捉え、相聞の歌に取り入れて
います。
伝説の美女として万葉集に登場する「葛飾の真間の手児名」に興味がわきます。
第5回(6/12)では「東歌」の「相聞」が
取り上げられました。
相聞とは恋の歌のこと。都の歌に比べて、東歌は大胆で実直なものが多いそう。
多摩川に 晒す手作り さらさらに
なにそこの児の ここだかなしき
(武蔵国歌十四・三三七三)
「東歌」に出てくる「かなし」は、
悲哀の意味で使われているもの
は少なく、そのほとんどは、いとしい、
かわいいの意味で使われて
いるそうです。
東歌では多様な序詞が登場します。ある語句を導き出すための前置きとして使われます。
第6回(6/19)は巻十四「東歌」の世界。
東歌の多様性について、これまでの振り返りと
ともに、民謡などの側面がうかがえる歌が
いくつか紹介されました。
稲搗けば 皹るあが手を 今夜もか
殿の若子が 取りて嘆かむ(十四・三四五九)
(稲をついて荒れたわたしの手を 今夜もまたお邸の若様が
手に取って嘆かれることだろうか)
稲つきをする女性たちが笑いながら
歌い合っていた作業歌のようなものだったの
ではないかという説もあるそうです。
知れば知るほど奥の深い「東歌」の世界。
来年もまたどんな万葉集のお話が
きけるのか楽しみです。
ゆ