展示テーマ
宮沢賢治は、故郷岩手の空と大地に深く交わり、37年の生涯において、詩や童話をはじめとする多彩な文学作品を残しました。科学・宗教・芸術の広い見識に基づく専門用語、生き生きとした方言や自在なオノマトペ。豊かで新鮮な賢治のことばは、いまなお多くの人を惹きつけています。2023 年は賢治の没後90年にあたり、翌24 年には生前唯一の詩集『春と修羅』の刊行から100 年という大きな節目を迎えます。
その詩集を賢治は自ら「心象スケッチ」と称し、己の裡に抱えた修羅や愛しい妹の死をも書き留め、心に映る一瞬のなかに、永遠を見出そうとしました。「(すべてわたくしと明滅し/みんなが同時に感ずるもの)/ここまでたもちつゞけられた/かげとひかりのひとくさりづつ/そのとほりの心象スケツチです」(序)― 「わたくし」という個人の心象は、「みんなが同時に感ずるもの」でもあると、賢治は言います。この「みんな」は、賢治が山野を歩き、あるいは汽車で運ばれるうちに交感した風や雲、鳥や馬や人間たちの総体であり、絶えず変化する世界そのものなのかもしれません。
時間と空間を超え、明滅しつづける賢治のことばは、現代を生きる詩歌人たちにどのように受けとめられるのでしょうか。賢治作品の機軸であり、あらたな詩のことばを切り拓いた「心象スケッチ」への多様な応答をとおして、今ここに浮かびあがる賢治の姿を共有し、その先にある100 年を展望するべく、「賢治に献ずる詩歌」展を開催します。
展示内容
・「宮沢賢治あるいは『春と修羅』」をテーマとした直筆作品 57点
・出品者による作品朗読音声
・美術作品* 7点 *宮沢賢治「日輪と山」は複製
・写真 2点
・インスタレーション「かげとひかりの大樹」
出品者(各分野五十音順、敬称略)
詩 |
相沢正一郎 |
天沢退二郎* |
新井啓子 |
石松 佳 |
菊池唯子 |
北川朱実 |
城戸朱理 |
工藤和信 |
桑田 窓 |
小島日和 |
佐々木幹郎 |
鈴木有美子 |
洲浜昌三 |
田中庸介 |
時里二郎 |
山下正彦 |
短歌 |
大西久美子 |
岡野大嗣 |
小黒世茂 |
小原奈実 |
河野小百合 |
佐藤通雅 |
伝田幸子 |
布宮雅昭 |
松村正直 |
柳 宣宏 |
山口明子 |
山本光珠 |
山本 豊 |
米田憲三 |
俳句 |
安里琉太 |
石 寒太 |
小川楓子 |
斉藤志歩 |
澤口航悠 |
曾根 毅 |
高野ムツオ |
鶴岡加苗 |
照井  |
遠山陽子 |
西村和子 |
野中亮介 |
淵脇 護 |
武良竜彦 |
安原 葉 |
山本素竹 |
吉田千嘉子 |
川柳 |
青砥たかこ |
あべ和香 |
いしがみ 鉄 |
一橋悠実 |
大石一粋 |
木本朱夏 |
熊谷岳朗 |
阪本高士 |
佐藤芳行 |
湊 圭伍 |
* 天沢退二郎氏は2023 年1 月25 日に逝去。生前、本展の趣旨にご賛同くださり、評論草稿をお寄せいただきました。心よりご冥福をお祈りいたします。
特別寄稿(敬称略、図録掲載のみ)
美術作品(五十音順、敬称略)
大下邦弘 |
杉本さやか |
針原 修 |
八重樫理彦 |
安ケ平愛美 |
協力者(五十音順、敬称略)
石と賢治のミュージアム |
大下邦弘 |
KARAS |
工藤嘉信 |
佐藤彰芳 |
杉本さやか |
高橋 隆 |
針原 修 |
平澤 広 |
宮沢和樹 |
宮沢賢治記念館 |
宮沢賢治童話村 |
八重樫理彦 |
安ケ平愛美 |
林風舎 |