【結果発表】まつりと詩歌 作品募集

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「<まつりと詩歌> 作品募集」の選考結果につきまして、以下のとおり発表いたします。
たくさんのご応募をいただき、まことにありがとうございました。
各部門の最優秀作品は、作者の直筆にて、当館の特設コーナーに展示します。

選 者

四元康祐(よつもと・やすひろ)

短歌

岡本 勝(おかもと・まさる/『まひる野』同人)

俳句

津髙里永子(つたか・りえこ/『小熊座』同人、『墨 BOKU』代表)

川柳

月波与生(つきなみ・よじょう/『川柳の話』代表)

募集期間

2022年7月1日(金)~12月31日(土)

応募総数

3,734点(小中学生の部:865点、一般の部:2,869点)

部門 短歌 俳句 川柳
小中学生 100 228 296 241
一般 185 785 869 1,030

入選作品

※年齢・学校・学年は作品応募当時のもの。

〈小中学生の部〉
最優秀 佐塚虹香(静岡県藤枝市/13歳/静岡雙葉中学校1年)
「人形以外出してない」(PDF 188KB)
優秀 さとう(大阪府大阪市/14歳/大阪府立水都国際中学校3年)
「普通の非日常」(PDF 155KB)
優秀 ちはる(東京都調布市/15歳/東京農業大学第一高等学校中等部3年)
「兎と星」(PDF 172KB)
優秀 川守田琉莉(静岡県静岡市/13歳/静岡雙葉中学校1年)
「ヨーヨーつり」(PDF 186KB)
〈一般の部〉
最優秀 徳冨雅人(神奈川県鎌倉市/25歳)
「跳ねている君」(PDF 150KB)
優秀 小杉とも(神奈川県川崎市/54歳)
「お祭りの日」(PDF 139KB)
優秀 楸(岩手県盛岡市/62歳)
「水の祀り」(PDF 171KB)
優秀 琴森 戀(沖縄県南城市/50歳)
「獅子祭(イタシキバラ)」(PDF 298KB)
詩部門 選評:四元康祐 先生

〈小中学生の部〉

 虹香さん、無理にポエムしようとしていないのがとてもいい。その正直さと勇気が人を感動させるのです。さとうさん、詩だって「普通の非日常」だよ。そこでなら私は私じゃなくなって、ほんとの私に出会えます。ちはるさん、兎が無数の星の代わりに見つけたお月様のなかに自分自身がいたように、この詩にはちはるさん自身が映っているね。琉莉さん、「私」と「水」がぶつかって「魚」が生まれた、その魚が「詩」なんだ。それにしても、みんなリンゴ飴が大好きなんだなあ。

〈一般の部〉

 祭は共同体なしには成立しないが、共同体は時にその構成員たる個人を抑圧する。日本の近代詩の成立は共同体の呪縛から自由になるための個人の声の獲得ともいえるが、その結果現代の詩は多くの読者を失うことになった。ここに選んだ作品は、どれも個と共同体の関係そのものを内包している。「跳ねている君」では圧巻のネブタがひとりの「君」へと収斂し、「お祭りの日」では人垣をくぐり抜けて自らの原点に到る。「水の祀り」と「獅子祭(イタシキバラ)」では、そこに生と死の交叉が重なった。日本語の祝祭としての詩の四篇。

短歌

〈小中学生の部〉
最優秀 プーさんプーさん(東京都練馬区/15歳/京華女子中学校3年)
賑やかな馬子(うまっこ)の鈴の音がきこえ岩手に夏が近づいてきた
優秀 福井悠人(岐阜県川辺町/14歳/川辺町立川辺中学校2年)
焼きそばにベビーカステラからあげとポテト大盛りチョコバナナ二個
優秀 神谷祐香(岐阜県川辺町/15歳/川辺町立川辺中学校3年)
春まつり巫女の姿の私あり笛と太鼓の音につつまれ
優秀 中島丈晴(岐阜県川辺町/14歳/川辺町立川辺中学校3年)
山川橋から役場まで屋台()み前後左右に笑顔たくさん
〈一般の部〉
最優秀 ふわりねこ(東京都大田区/64歳)
里神楽跳ねる天狗の耳ピアス レタス農家の三男坊主
優秀 梅津純子(山形県長井市/79歳)
赤き実を捥いで(さわ)して剝いて干す祝祭のごと柿の秋ゆく
優秀 藤沢流凪(埼玉県川口市/19歳)
どの金魚よりも綺麗に泳ぐから私をすくって連れて帰って
優秀 遊泉(愛知県名古屋市/78歳)
暗闇の海から神のましますと神輿を載せて祭り舟着く
短歌部門 選評:岡本 勝 先生

〈小中学生の部〉

 素直で気持ちのこもったたくさんの作品のご応募ありがとうございました。優れた短歌を作るためには、まず、良い短歌をたくさん読んで、短歌のもつ定型特有のリズムを体得することが大切です。具体的には石川啄木の『一握の砂』あたりがお薦めです。そして、日記調・散文調にならないように、「詩情」あふれる短歌を作ってください。また、詠む内容や言葉による表現において、類型(パターン)から脱したオリジナルな短歌を作ってください。

〈一般の部〉

 受賞作の他に受賞候補作として考えたのは、「帆手祭りの荒るる神輿の担ぎ手の白装束に春日まぶしき」、「亡き母に結んでもらいし蝶結び冲より流るる相馬盆唄」、「大杉の(ほら)に巣を持つ山鳩は祭事のさ中声ひくく鳴く」、「秋祭り幟の並ぶ道端は蒲の穂茂る休耕田なり」、「夜空へと夏をぶちまけるがごとく手筒花火は(ほむら)を噴けり」、「締め込みと法被で街を駆け抜けろ博多の夏は山笠の夏」、「夕暮れの太鼓の音に包まれて寝息を立てて眠る幼子」、「あかあかとつつじ祭りの火が灯る父は終末医療にはいる」、「松明を担いで歩く男たち火の粉飛び散る鞍馬街道」の全13首でしたが、切り取られた事実や言葉による表現が詩的か否かの観点から受賞作を決定いたしました。

 

俳句

〈小中学生の部〉
最優秀 菊地凱成(岩手県北上市/9歳/北上市立和賀東小学校4年)
コオロギのとなりで食べるリンゴあめ
優秀 山田海羽(岐阜県川辺町/14歳/川辺町立川辺中学校2年)
夏祭り声で消されるげたの音
優秀 松田悠莉(岩手県北上市/12歳/北上市立南小学校6年)
うつりたい家族みんなで月の中
優秀 水野結雅(愛知県名古屋市/15歳/名古屋市立守山中学校3年)
血管の浮く南風のねぶたかな
〈一般の部〉
最優秀 長根一芳(東京都足立区/70歳)
蘇民祭星はいずれも熱を持つ
優秀 遠藤邦泰(宮城県仙台市/78歳)
含み紙しっかり噛んでどんと祭
優秀 佐藤きりん(埼玉県さいたま市/45歳)
シャーマンの呻き幽かに蝉の穴
優秀 桐野鈴子(埼玉県/62歳)
踊り終え早口になる祭りの子
俳句部門 選評:津髙里永子 先生

〈小中学生の部〉

 新型コロナウイルス感染拡大を防ぐために各地のお祭りが中止になったりして、とても悲しい数年でしたが、せめて詩歌(しいか)の世界の中でははしゃごうよ!という声がひしひしと伝わってくる作品が多かったです。すべての句を特選にしたかったのですが、コオロギさんの、甘いかおりのリンゴ飴に跳びつきたいのを我慢して一生けん命に鳴いているすがたを励ましたくて最優秀作品に選びました。コオロギの声を聴きとめた作者もステキですね。

〈一般の部〉

 「祭り」「祀り」と2通りの解釈をした多種多様な「まつり」の句に心底圧倒されました。その中で岩手県を中心に伝わる裸祭り、「蘇民祭」の句の力強さを最優秀作品に選びました。夜通し行われる祭りの空に自ら輝く星たち。希望が湧く1句です。宮城県の「どんと祭」の「しっかりと噛む含み紙」はまるで今のマスクのように思われ、シャーマンの呻きという意外性、やり遂げて興奮気味の子へのあたたかいまなざしにも惹かれました。

川柳

〈小中学生の部〉
最優秀 松岡真吾(岐阜県川辺町/15歳/川辺町立川辺中学校3年)
最高の友と見上げる一尺玉
優秀 岩田壮臣(岐阜県川辺町/14歳/川辺町立川辺中学校3年)
体育祭一度もできず卒業へ
優秀 森山美琴(佐賀県鳥栖市/9歳/鳥栖市立鳥栖小学校4年)
窓からの花火はきれいで悲しいな
優秀 スノーボール(岩手県北上市/11歳/北上市立和賀東小学校5年)
家のこや雪がつもっておみこしだ
〈一般の部〉
最優秀 糸蜻蛉(千葉県木更津市/66歳)
空までも担ぐ勢い夏神輿
優秀 真島 芽(佐賀県吉野ケ里町/16歳/高校1年)
炭酸の泡と踊っている祭り
優秀 尾内以太(静岡県浜松市/38歳)
手は足に足は手になる踊の輪
優秀 斉藤浩美(愛知県東海市/65歳)
今生のすべて出しきる祭笛
川柳部門 選評:月波与生 先生

〈小中学生の部〉

 今、となりで一緒に花火を見ている人を「最高の友」と呼べる人は素敵です。コロナ禍で体育祭を経験しない世代が生まれてしまいました。現在を表したまつりの句です。「きれいで悲しい」、形容詞重なりは窓から見ているもどかしさの表れと感じました。古ぼけた小屋も雪が積もればキラキラのお神輿になる発見。応募241句、小1から中3の年齢差は9歳もあり一括りでの選はとても難しい。小、中に分けて募集してもいいのではと思いました。

〈一般の部〉

 「空までも担ぐ」で祭りの万能感、躍動感が伝わる句。お祭りは一瞬で「炭酸の泡」のように去って行く。祭りの儚さが伝わる句。「手は足に足は手になる」とは上手く表現された。祭りの滑稽さが伝わる句。祭りは「今生」の叫びとも言え、存在が燃え尽きてしまう瞬間の美しさが伝わる句。応募1,030句から4句の選ということで、紹介できない句が多数有り。選をしているうちにすっかり気持ちがじゃわめいてしまいました。

 

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